実録!
赤壁の戦い


諸葛亮、本領発揮!

 

 ここからは『諸葛亮伝』引用。諸葛亮は江東に着くと、早速孫権と会見した。
「今、曹操は中原をほぼ平定し、荊州をも破って、威名を天下に轟かせています。我が劉予州殿は曹操に抵抗する根拠地を持たなかった為に、撤退されてきました。将軍もお国の兵力をご考慮のうえ、もし呉・越の軍勢で北方の軍勢に抵抗できるとお考えなら、速やかに断交されるべきですし、抵抗できないとお考えなら、曹操に降伏されるがよい。今、将軍が曹操に対して一応服従すると見せながら、尚和戦両様の心を持ち、この場に至っても決しかねているなら、必ず災難が降りかかることでしょう」

 この言葉に孫権は自尊心を傷つけられる。
「君の言葉通りなら、君の主人の劉予州こそ曹操に降伏すれば良いではないか」

「劉予州は王室に連なるお方で、英雄の名は天下に聞こえておられます。その劉予州にして曹操誅滅の壮図が達成できない時は、これは天命というもの。潔く玉砕するまでで、曹操に屈服するなどありえないことです」

 孫権は奮然として言う。
「私は呉の国土・十万の軍勢を持ちながら、おめおめと曹操の軍門に降ったりするものか。わしの心は決まった。しかし、劉予州が敗れた今、曹操の攻勢を食い止める事はできないのではないか?」

「いや、予州は長坂において敗れたとはいえ、関羽が襄樊から率いてきた水軍など精鋭一万余があり、劉キ殿の軍勢も一万を降りません。一方、曹操の軍勢は遠方から来てますので疲れきっております。聞けばこの度、我らを追ってきた時などは軽装の騎兵で一昼夜で三百余里も飛ばしたとか。これこそ『どんなに強い弓で射た矢でも、落ちる寸前には薄い絹すら貫く事はできない(強弩の末、勢い魯稿にも穿つあたわず)』というもの。しかも、北方の兵士は水上の戦いに慣れておりませんし、新たに曹操軍に入った荊州の軍勢も、心から従っている訳ではありません。今、将軍が予州と共同戦線を張られるなら、必ずや曹操軍を破る事が出来ます。曹操軍は北方に引き上げ、荊州と呉の比重が強まり、天下は三分状況が成立するというもの。これが成るか否かは、まさに今日のこの時にあるのです。」

 弁論家・諸葛亮の真骨頂か?


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